東炊き

「東炊き(あずまだき)染め」とは、江戸時代に行われていた「釜入れ」という技法を使った染色で、繊維(織物)を小さい染め釜に入れ、そこに石灰や植物灰汁を混ぜて煮る方法です。ふくらみのある大変すばらしい風合いの生地が染め上がります。一度は途絶えてしまった技術ですが、東京都にある川合染工場によって現代に蘇りました。

通常よりも小さい染め釜を使用するため、生地を釜の大きさに合わせて小さく巻き直すところから準備は始まります。

小さい釜に生地と染料を入れゆっくり4時間染め上げていきます。釜の中で撹拌しながら生地を揉むことで、柔らかな独特の風合いを生み出します。

 窯から取り出した生地は乾燥機か、天日干しで乾燥させます。こうしてできた生地は独特のシワが残り、リラックスした柔らかい風合いになります。江戸時代にはこうした柔らかい生地が多くあり、肌に直接触れる生地として日本人の生活を支えてきました。

東炊きを作る
株式会社 川合染工場 代表取締役社長 川合創記男